デーリー東北  2014年2月3日
きょうの時評

持続可能な地域へ 「何があるか」を考えよう

 地方は若者の人口流出にどう対応すればいいのか。東京一極集中は解消されるどころか、拍車が掛かる一方。妙案を見いだせないのが実情だろう。
 そんな中、青森県が東京で面白いイベントを仕掛けている。
 「若者からの青森学発進プロジェクト」と銘打ったこの事業。県外に出て行った若者が、将来的に古里へ戻れる環境づくりとその意識を持ってもらうのが狙いだ。
 県の職員が政策を提案するベンチャー制度で採択され、本年度の予算は410万円。東青県民局の地域連携部が担当している。
 派手さはない。だが、取り組みをみると、地方から中央へと一方通行だったこれまでの流れを変えるヒントが隠されている。
 事業のメーンは「青森ゼミナール」と称した都内で開くワークショップ形式の集会。昨年6月以降、3回開催し、県出身の大学生や社会人らが集まった。
 テーマは▽地元の食品を首都圏でどう売り込むか▽青森にUターンした方と語り合う―など。参加者に、生まれ故郷に「何がないのか」ではなく、「何があるのか」を意識させるテーマ設定だ。
 運営には県出身の大学生が協力している。東北新幹線新青森開業に伴い、青森市内の高校生を中心に2009年設立された「クリエイト」のメンバーで、進学した彼らは特産品販売の手伝いもするなど、首都圏にいながら常に「青森県」を意識した活動に精を出す。
 集会では参加者にある小冊子を配布している。県がつくった「ピカイチデータ 数字で読む青森県」。県内の各種統計情報を読みやすくまとめたもので、1世帯当たりのナスの購入量が全国1位といった、へぇーっと思わせる県民性や特色が一目で分かる。
 この事業を通して感じるのは、生まれ育った地元をまだまだ知らないということだ。大都市と比べて、地方にはこれがない、あれが足りない、との見方しかしていなかったのではないだろうか。
 都道府県別の人口減少率(05~10年、国勢調査)をみると、秋田県が最も高く、次いで青森県、岩手県と北東北3県は厳しい環境に置かれている。
 若者の県外流出は雇用や賃金、生活の利便性などが要因とみられ、この流れを止める特効薬は見当たらない。
 だからこそ、地道な取り組みが必要となる。持続可能な地域をどうつくっていくのか。この事業は将来に向けて種をまいているといってもいい。花が咲くかは分からない。ただ、参加者にとって、古里の今後を真剣に考えるきっかけとなったはずだ。
 継続は力なり。こうした活動を粘り強く続けてもらいたい。

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