読売新聞[青森県版]  2010年2月14日
【ほほえみ便】高校生記者、駆ける

 青森市の街中を高校生記者が駆け回っている。東北新幹線の全線開業を前に、観光客向けに無料情報紙発行を始めた学生団体「クリエイト」のメンバーだ。ねぶ た祭など全国区の話題から、ご当地グルメのみそカレー牛乳ラーメンまで、取り上げるテーマは多彩。「こんにちは。取材で伺いました」――。青森の街に、高 校生の元気な声がこだまする。(岡部雄二郎)

 クリエイトは昨年4月に発足。青森南高2年の久保田圭祐さん(17)を代表に、現在のメンバーは同級生ら計12人。A4判1枚の「あおもり話題チャンネル」の編集を中心に活動、9号まで発行した。

 活気のない中心商店街が中学時代からずっと気になっていた。シャッターが下りたままの店舗。休日でも少ない人通り。「東北新幹線がやって来る日が近づくにつれ、青森の顔がこれではいけない、という思いが募ったんです」

 街を元気にするために、自分ができることを――。思いついたのが、無料情報紙の発行だった。県外客に青森の魅力をPRすれば、往年 のにぎわいを取り戻す足がかりになるかもしれない。熱い思いに、友人たちが次々と賛同の手を挙げた。高校生の手によるまちおこし。そのユニークな取り組み に、トヨタ財団も50万円の助成を出した。

 週1回メンバーが集まってアイデアを出し合い、週末の休みを取材にあてる。いまでこそ、取材も執筆も軽やかにこなすが、「最初は試行錯誤の連続だった」。

 全員が取材や執筆は初めて。知り合いの雑誌記者から取材や文章の基本の手ほどきを受けたものの、初めの頃はパソコンに向かって記事を書いては消すの繰り返しだった。

 事前の準備不足がたたり、取材先で恥ずかしく、悔しい思いをしたメンバーもいる。青森を代表する作家・太宰治にちなんだ展示会の取 材に出掛けながら、担当者と話がかみ合わなかった。「青森の魅力を知ってもらいたいと始めた活動が、自分たちの未熟さを見つめ直すきっかけとなった。学校 では絶対にできない“勉強”です」

 活動を通し、青森人のぬくもりも肌で知った。

 浅虫温泉を特集した時のこと。取材内容が固まらぬまま駅に降り立ったのに、聞いてまわった地元の人たちはみな、平安時代にまでさかのぼる温泉の歴史や絶景のハイキングスポットなどを迷惑がるそぶりもなく教えてくれたのだ。

 「地元の人の支えなくして、話題チャンネルは存在できません。様々な人と触れ合う中で、青森っていいな、と感じる時も増えました」

 いまは、メンバーが額を寄せ合って次号のアイデアを練っている最中だ。観光客に今度は何を紹介しようか。高校生たちの明るい声が街中に響く日が、またやって来る。

 「こんにちは。あおもり話題チャンネルです。取材で伺いました!」

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