東奥日報 夕刊  2010年12月25日
ちょっとお尋ねします。386回
【高校生団体クリエイト代表】久保田圭祐君、新幹線開業前夜祭の感想は
 資金集めで厳しさ痛感 市民の温かさには感激

  東北新幹線全線開業を盛り上げようと3日、青森市内の高校生たち約70人が「高校生がつくる開業前夜祭」を同市新町のパサージュ広場で開いた。企画、運 営、協賛金集めに至るまで高校生たちが手掛けた異例のイベント。バンド演奏やファッションショーなど熱いステージを繰リ広げ、いまひとつ盛り上がりに欠け ていた市民の心を揺リ動かした。
 
―新幹線の開業前夜祭という大きなイベント。どうして高校生だけで開くことに。
「ふるさと青森市をもっと元気で楽しい街にしたいと考えたのかきっかけです。新幹線延伸という大きなチャンスなのに、ムードがあまリ盛リ上がっていない。 それならば自分たち若い世代が元気を掘リ起こそう、と。しかも青森市内には前夜祭イベントが見当たらなかった。せっかくの新幹線開業なのに寂しい。これは 自分たちでやってしまおうと思い立ったんです」
「当初はイベント会社に協力してもらうことも考えたんですが、経費的な問題であきらめました。どうせ自分たちでやるなら、徹底して手作り感を出そうと考えました」
 久保田君の呼び掛けに青森高や青森東高、青森工業高校など市内8校の生徒たちが参画。ミニFM放送を通して青森の隠れた観光情報を発信するために仲間とつくった団体「クリエイト」を母体に前夜祭実行委員会を組織し、準備に取りかかった。
―高校生が対外的な大きなイベントを開く大変さは。

「特に資金集めは苦労の連続でした。仲間と手分けして、飛び込みで企業、商店などを回りましたが社会の壁というか、厳しさを肌で感じました」 「最初は大きな会社だけを回ったけど全滅。『年末のこんな時期じゃ、もう地域対策費は残ってないよ』と、企業の"仕組み"を教えられたリ、突然の訪問で相 手にしてもらえなかったリ。結局、集まったのは個人商店がらの数万円。経費をぎりぎりまで抑えても、準備段階で赤字が12万円に膨らんでしまって。主催者 としてずっと貴任を痛感していました。『前夜祭を企画した自分が全部かぶるしかない』って覚悟を決めていたんです。最後は半分泣きながらやってました」
 本番1週間前、そんな高校生たちの苦境と奮闘を本紙が伝えたところ、市民から支援が続々と寄せられた。

「中には『期待しているから頑張リなさい』と個人で8万円も協賛してくれた方もいました。ほかにも協賛の申し出がたくさんあって。自分たちで勝手に始めたこととはいえ、赤字をかぶらずに済みました。多くの方々の応援に心から感謝しています」
―当日は、開業日の運行ダイヤを大混乱させた台風並みの低気圧が接近していた。

「なぜか前夜祭を始める時間だけ晴れ間がのぞいていました。これが『結集、青森力』なのかなと感じていました。でもイベントの最中にどんどん風が強くなってきて、フィナーレは倒れそうになるテントをみんなで支えながら進行したんです」
―前夜祭を通じて一番感じたことは。

「青森の人たちの温かさと、意外なほどの熱さです。これなら青森市は日本一元気な地方都市になれると確信しました」
 前夜祭終了直後、翌日の大学入試のため、そのまま深夜バスに乗り込んで慌ただしく上京した。

「午後8時半に終わって、みんなに後片付けを任せて、午後9時のパスに乗っていました。面接試験では前夜祭の新聞記事を披露してアピールし、慶応大学の総 合政策学科に合格することができました。自分で研究テーマを見つけるという面白い学科で、観光を通した地域活性化のスキルを学ぶつもりです」
―進学でしばらく青森を離れますが、今後のクリエイトの活動は。

「青森のことはずっと気にかけていきます。実は前夜祭に参加した高校生にアンケート調査を実施しました。9割が『前夜祭を通して青森に対する思い入れが強 まった』と回答してくれて。前夜祭をやって本当に良かったと思いました。もともとクリエイトは地域を元気にすることを目的につくった団体。今回イベントに 携わった後輩たちにこの思いを受け継いでもらいたい」
 青森の元気づくりのバトンをさらに次の世代に託した。 (阿部泰起)


◆久保田圭祐(18)・・・・青森市生まれ。現在、青森南高校3年生。2009年4月に同級生らと高校生団体「クリエイト」設立。同8月から同市古川の街中ステーションで、ミニFMの自主制作番組を放送中。

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