産経新聞[東北版]  2008年11月5日
【特報 追う】奮闘!高校生ミニFM開局

 電波を通して青森の発展に貢献したい-。青森市内の高校に通う生徒がミニFMを立ち上げた。「地元密着」をコンセプトにニュース、観光、話題、音楽などバラエティーに富んだ情報を発信、コミュニティーづくりに一役買っている。「地域に根差した番組で少しでも地元の役に立ちたい」と夢は膨らむ。(福田徳行)

 ミニFMを立ち上げたのは県立青森南高1年の久保田圭祐君(15)。“スタジオ”となっている自宅のパソコンの画面には番組に使用するソフトのアイコンがびっしり。そのパソコンを駆使してさまざまな情報を流している。

 そもそも久保田君がパソコンに興味を持ち始めたのは幼稚園児のころ。当時、自宅にあったワープロをおもしろ半分にいじっていると、画面の文字などを父親が印刷してくれた。「おもしろーい」-。小学6年の誕生日に両親からノートパソコンをプレゼントされ、すっかりパソコンのとりこに。

 中学校に入学し、インターネットを使ってラジオ番組を放送する「インターネットラジオ」の存在を知り衝撃を受けた。「個性があって、クオリティーの高さに驚きました。自分にもできるんじゃないかと」。平成7年の阪神淡路大震災でミニFMが住民の情報収集に大きな力になったことにも心を動かされた。仲間集め、開局のノウハウ…。試行錯誤を繰り返しながら昨年7月、周波数82メガヘルツのミニFM「NorthFM」開局にこぎつけた。

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 放送時間は平日は午後8時~午前1時、週末は24時間放送。番組内容はニュース、気象情報、話題を織り交ぜた情報、音楽、観光客向けの料理店紹介など実に多彩だ。

 発信する番組はあらかじめ仕入れた情報をパソコンのソフトを使って流すため、基本的に自らマイクに向かうことはない。ただ、午後10時50分から10分間のニュースだけは生放送。全国ニュースをメーンに県内ニュースも盛り込み、新聞やテレビ、インターネットなどを基に自分で原稿を作っている。

 「マスコミの原稿をそのまま流しても自分の考えが伝わらない。自分なりの考えで自分の言葉で発信しないとミニFMの存在価値が問われる」。八戸市で震度6弱を観測した7月24日未明の地震では、自ら構成してインターネット速報も配信した。

 観光情報も積極的に配信。今年の青森ねぶた祭では独自に市民投票を実施、関係者と違った視点から祭りを分析した。「青森市は中核市でありながら身近な情報発信基地がなく、ねぶた祭以外は観光客も少ない。青森市をもっと知ってもらうためにも眠っている観光資源を発掘しなければならない。新幹線効果を生かせなければ青森は死んでしまう」と指摘。「その手助けができれば」と意欲をみせる。

 高齢化社会での孤独死問題にも胸を痛める。「身近に頼れるものがあれば少しは違うと思う。ぼくたちがそのつなぎ役になっていけば孤独死も減ると思う」と電波を通した地域コミュニティーの在り方を模索している。

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 開局して1年4カ月余りだが、まだ手探りの状態。趣味に使おうとしていた貯金も開局時に使い、久保田君を含め9人の仲間のうち8人は高校生とあって、資金集めもひと苦労。1カ月250円の会費では運営が厳しく「ほとんど赤字で、今のままだとゲリラ放送局。もっと仲間を増やしたい」。また、放送エリアが自宅周辺と狭いため、視聴世帯もごく限られている。「中継局を増やしてより多くの人に聞いてもらいたい」とエリア拡大に意欲をみせる。

 ニュース発信を通して感じることも。「やらせや公平性に欠ける報道が目立つ。本来の目的である真実を忠実に伝えることが使命だと思う」と、マスコミのあるべき姿勢を問いかける。

 「今は夜しか放送していないが、主婦にも聞いてもらえるような人に愛される番組を作りたい。そしてミニFMをリードするような存在になりたい」と夢を描く久保田君。高校では生徒会活動の傍ら、部活動は演劇と登山、帰宅後はパソコンとにらめっこの日々。「何時まで勉強しようという気はありますが、なかなか…」とバツが悪そうに頭をかいた。このときばかりは「起業家」から少年の顔に戻った。

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 ■ミニFM 電波法で定められた出力より弱く、免許が必要ない「微弱電波」を利用し放送する。阪神・淡路大震災では、神戸市長田区で多言語の支援放送に活用され、後に、さらに規模が大きく免許が必要なコミュニティFM放送に発展した。NorthFMのホームページはhttp://www.fm82.net。Eメールアドレスはgjymh38408@ybb.ne.jp((電)017・782・5226)。老若男女を問わず仲間を募集中。10日までメンテナンスのため放送休止。

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