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Leader Column Vol.5
3人の生き様から考える「信念」の大切さ
2015年3月8日
 高校卒業、そしてクリエイト卒業おめでとうございます。皆さんの門出に寄せて、今日はある3人のエピソードを紹介したいと思います。
 一人は黒田裕子さん。黒田さんは災害看護という地平を切り開いた方です。宝塚市立病院の副総婦長だったときに阪神淡路大震災に遭い、避難所で被災者のケアにあたりました。その際に避難所や仮設住宅で孤立する被災者を目の当たりにし、副総婦長の職を擲って阪神高齢者・障害者支援ネットワークを立ち上げました。自らが仮設住宅に住み込み24時間被災者に寄り添い、被災者のケアやコミュニティづくりに心血を注ぎました。その後も19年以上、東日本大震災や四川大地震など世界各地の被災者のケアにあたってきましたが、昨夏、末期の肝臓がんであることが判明。病状は悪化の一途をたどり、遂に昏睡状態に至ります。ところが兵庫県の井戸敏三知事が激励に訪れた際、意識朦朧とする中、力を振り絞り災害看護の理念に基づく「福祉避難所」の必要性を訴えたのです。その災害看護への情熱の深さは周りを驚かせました。その数日後、9月24日に多くの人に惜しまれながら、震災20年を目前にして逝去しました。死後発表された兵庫県による提言には「福祉避難所」の重要性が明記されました。
 もう一人は村川信勝さん。幼いころから勉強をしたいという意思を持っていながら家計の事情で中学校に進学が叶わず、その後、太平洋戦争の最前線に駆り出され命辛々の戦いをしてきます。終戦後は企業で85歳まで勤めました。退職後、学ぶことへの意欲は高まり、93歳のときに桃山学院大学に入学しました。大学では国際法・日本史・世界史などを受講、自らの研究テーマである「なぜ戦争が起きたのか」について研究を続けてきました。ところが学生6年目の99歳の時に体調を崩し、100歳を一週間後に控えた日に逝去しました。大学では村川さんに名誉学友を授与、その探究心を讃えました。
 亡くなった二人に共通していることは「信念を持って天寿を全うした」ということでしょう。信念を持って生きたからこそ、その生涯が評価されたと思うのです。
 県民にとって当たり前の存在となった東北新幹線。今では東京まで3時間を切り、観光客の足として交流人口拡大の役割を果たしています。その東北新幹線ですが、今から20年前、盛岡青森間を新幹線として整備するか在来線として再整備するか深刻な社会問題になっていました。バブル崩壊を受け政府財政が悪化している時期と重なり、世論は地方に新幹線は不要だという意見が大勢を占めていたのです。新聞では「政治新幹線はごめんだ」と新幹線整備に賛成する政治家は遍く非難され、官僚からは「昭和の三大バカ査定と言われるものがある。戦艦大和、伊勢湾干拓、青函トンネルだ。整備新幹線計画を認めれば、これらの一つに数えられるだろう」と嘲笑されていました。そのような時代背景の中、青森県の北村正哉知事(当時)は「新幹線はフル規格でこそ有効」であるとの信念も持ち、全国紙にも「新幹線は日本列島縦貫幹線として重要であり、北海道から九州までは日本国土の背骨を通し、その喉元に当たるべき東北新幹線(盛岡―青森間)については、全線フル規格で建設するとの決定をしていただきたいのです」と投書するなどして、新幹線整備に全力を尽くしました。その甲斐あって、東北新幹線は新幹線規格で整備されたほか、来年には九州から北海道まで新幹線が縦断されることとなり北村知事の信念が正しかったことが名実ともに証明されようとしているのです。北村知事は退任後、2004年に逝去しましたが、その姿勢、特に信念に基づいた新幹線の交渉は今でも高く評価されています。
 卒業メンバーには信念を持ってこれから歩んでいってほしいと思います。時に外野から批判、非難されることもあるかもしれません。しかしそれに右往左往していては物事が前に進まないのです。周囲の意見にも耳を傾けながらも、信念に基づいた判断をしていくべきです。このことは紹介した三人のお話からもわかるのではないでしょうか。
 最後になりますが、皆さんは、商店街はじめ地域の皆さんからの熱いご支援があったことにより今日まで活動を継続することができました。どうかそのことを忘れないでください。
 皆さんは新年度から新しい環境で学びを始めることになります。クリエイトの活動で得た学びや経験は、卒業後、様々な形で発揮されるであろうと確信しています。私たちのスピリットは「チャレンジ」です。皆さんが、将来、様々な分野でそれぞれが活躍され、皆さんと一緒に活動できる日が来ることを楽しみにしています。
 クリエイトの活動は今日が終わりではありません。来年度以降も常に進化しながら活動が継続していきます。皆さんが卒業後も積極的にクリエイトの活動に対して協力してくれることを職員一同、期待しています。
 この活動を今日まで続けられたのは親御さんの理解があったからこそだと、職員一同痛感しています。保護者の皆様には、当法人に対する物心両面にわたるご支援・ご協力を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
 皆さんの今後の人生が豊かなものになることを祈念して結びとします。


(この談話は「卒業する皆さんへ」に寄稿したものです。)
久保田 圭祐
  • 高校2年生のとき、高校生団体「クリエイト」を設立。2014年4月からは特定非営利活動法人あおもり若者プロジェクト クリエイト理事長。
  • 1992年青森県生まれ。古川中学校、青森南高校卒、慶應義塾大学総合政策学部3学年在学。
  • 中学・高校時代は演劇部に所属し、高校2年次には主演演劇作品が第42回東北地区高等学校演劇発表会で優秀賞一席を受賞し、第4回春季全国高等学校演劇研究大会に出場した。趣味は旅行、飛行機
  • このほか、青森県庁「活力と魅力あふれる東青地域づくり検討会議新幹線全線開業賑わい部会」委員などを歴任。
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